近年、生成AI 技術の急速な発展により、検索エンジンのあり方が大きく変わろうとしています。その中でも特に注目を集めているのが、Perplexity AI です。Perplexity AI は、最先端の自然言語処理技術を駆使し、ユーザーの質問に対して的確な回答を提供するAI検索エンジンです。
そんなPerplexity AI にインスパイアされ、オープンソースで開発されたのがPerplexica です。Perplexica は、Perplexity AI の機能を再現しつつ、ローカル環境で動作するため、プライバシーの保護にも優れています。
本記事では、Perplexica の概要や特徴、使い方、そして可能性と課題について詳しく解説します。
Perplexica とは?
Perplexica は、Perplexity AI の概要と特徴を踏襲したオープンソースのAI検索エンジンです。従来の検索エンジンとは異なり、ユーザーが自然言語で質問を投げかけると、AIが関連する情報を収集・分析し、簡潔で的確な回答を提示してくれます。
Perplexity AI との主な違いは、オープンソースであること、そしてローカル環境で動作することです。これにより、個人情報の流出リスクを抑えつつ、AI検索の恩恵を受けることができます。
Perplexica は言語モデルを選択することができ、Ollama を使ってLlama3 やMixtral といったLLM を利用することができます。また、OpenAI やAnthropic のモデルを使用することができます。
Perplexica の使い方
Perplexica のGitHub リポジトリからソースコードをダウンロードし、自分のコンピュータにセットアップする必要があります。セットアップ方法は、公式ドキュメントに詳しく記載されています。ノーコードで使えますが、Git の知識が必要で、Docker も動かせる方がよいでしょう。
セットアップが完了したら、Web ブラウザからローカル環境のPerplexica にアクセスし、検索窓に自然言語で質問を入力するだけです。例えば、”Tell me about the sights in Tokyo.” (「東京の観光スポットを教えて」)と入力すると、Perplexica は関連する情報を収集し、主要な観光スポットをリストアップしてくれます。
検索結果は、参照元のリンクとともに表示されるので、情報の信頼性を確認することもできます。
Perplexica を使ってみた感想
今回、(Web 検索部分以外は) ローカルで動くPerplexica と、Perplexity Pro を使ってみました。LLM はPerplexica がLlama3 7B で、Perplexity がClaude 3 Opus です。
異なるLLM を設定したうえでの試用ですので、あくまでひとつの感想としてお読みください。
日本語の対応に考慮する必要がある
Perplexica ではなかなか日本語を生成してくれませんでした。これはLlama3 7B をモデルに指定したためであると思われます。日本語でのテキスト生成が必要な場合は、他の日本語に強いモデルを利用するのがよいでしょう。
Perplexity ではClaude 3 Opus を利用したため、流暢な日本語で回答結果が得られました。
Perplexica は情報ソースへのリンクが荒い
どちらもは生成した文章の中に情報ソースへのリンクを含めてくれますが、Perplexity の方が、多くの引用元へのリンクを含める傾向にあるかもしれません。
Perplexica もPerplexity も情報検索や回答生成のアルゴリズムについては、今後変更や改善が行われることもあると思われます。
Perplexica は高速に動作させる余地がある
当方の環境はMac Studio (M1 Ultra 128G) を利用しています。Perplexica でLlama3 7B を使ったところ、Perplexity (Claude 3 Opus) よりも回答の生成が早かったです。ただし、Perplexica の方には短文を生成する傾向が見られました。利用するLLM を変更すればまた異なる傾向が見られるでしょう。
ほぼローカルで動くPerplexica と、Perplexity を比較しました。総合的にはPerplexity の方が優れていると感じましたが、LLM の条件を合わせてPerplexica でClaude 3 Opus を利用するようにすると、また異なる感想になるかもしれません。もう少し試用してみて、異なる感想を持った場合には追記をします。
Perplexica の強み
Perplexica の最大の強みは、ローカルLLM(大規模言語モデル)を使えることです。ローカル環境で動作するLLM を利用することで、プライバシーをリスクに晒すことなく生成AI の機能を利用することが出来ます。
Ollama のようなオープンソースのローカルLLM にも対応しており、 そのようなモデルを使う場合は、完全に無料でAIを利用できるということになります。
また、Perplexica はオープンソースであるため、コードの中身を確認できるだけでなく、自分で機能を追加・改良することもできます。これは、特にエンジニアや開発者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
Perplexica の可能性と課題
Perplexica は、個人や組織におけるAI活用の敷居を大きく下げる可能性を秘めています。高度なAI技術を、無料で、プライバシーを保護しながら利用できることから、今後生成AI を活用する際の選択肢のひとつとして台頭が期待されます。
ただし、オープンソースであるがゆえの課題もあります。開発の継続性や、コミュニティの活発さ次第では、将来的にメンテナンスが滞る可能性もあります。
現状では、特に業務で使うのであれば、課金してPerplexity AI を利用するのがよいでしょう。しかし実際に試してみて、今後のPerplexica の動向を見ていきたいという気持ちになりました。
まとめ
Perplexica は、Perplexity AI の機能を再現しつつ、オープンソースとローカル環境での動作を実現した画期的なAI検索エンジンです。個人組織でのAI活用を促進し、新しい検索体験を提供してくれるでしょう。
課題はあるものの、その可能性には大いに期待できます。ぜひ一度、Perplexica を見てみてください。
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